この事例の依頼主
男性
相談前の状況
Aさんのお父さんであるX氏が亡くなり、相続が開始しました。亡X氏の相続人は子であるAさんとBさんの2人でした。亡X氏は、生前、不動産物件を複数所有していましたが、そのうちの1つの物件(土地建物・賃貸物件)をB名義で購入していました。購入にあたって組んだ住宅ローンもB名義でしたが、実際にローンを支払っていたのは亡X氏でした。AさんとBさんとの間で遺産分割協議が始まりました。Aさんは、上記物件も当然遺産に含まれると主張しましたが、Bさんは、上記物件はB名義であるから自分の財産であり、遺産には含まれないと主張したため、話し合いはまとまりませんでした。困ったAさんは相談に来られました。
解決への流れ
担当弁護士は、Aさんの依頼を受けた後、上記物件が亡X氏の遺産に含まれることの確認を求める訴訟を速やかに提起し、①上記物件はB名義で購入されているものの、ローンを支払っていたのは亡X氏であったこと、②亡X氏がB名義で購入したのはある事情があったからであり、Bさんに贈与する意思はなかったこと、③過去にBさんが上記物件の所有者であることと矛盾する行動をしていたことなどの具体的事実を丁寧かつ説得的に主張・立証しました。その結果、裁判所は、上記物件が亡X氏の遺産であると認定し、Aさんは勝訴判決を得ました。その後、上記物件が遺産であることを前提として、Aさんは遺産分割協議において納得のできる遺産を取得し、また上記物件は賃貸物件であったので相続開始から遺産分割成立までの賃料収入も相続分に応じて取得することができました。
本事案のように、ある財産が遺産に含まれるかどうかが争われる事案は少なくありません。このような場合、遺産分割調停で話し合うことはできないので、問題となっている財産が遺産であることの確認を求める訴訟を提起する必要があります。訴訟では、自己に有利な事実を丁寧かつ説得的に主張・立証しなければ勝訴判決を得ることはできないので、多くの訴訟案件を経験した弁護士に依頼しなければ、勝てる事件も負けてしまうことがあります。本事案では、多くの訴訟案件を取扱い、数々の勝訴判決を得てきた担当弁護士が、丁寧かつ説得的に主張・立証活動を行い、最終的に勝訴判決を得ることができました。ところで、本事案においては、当初は客観的証拠に乏しい状況がありましたが、担当弁護士が、訴訟提起前にBさんと交渉し、自分が物件の所有者であると考えているのなら、絶対するはずのない主張をBさんから引き出すことに成功し、この点が訴訟においても重要視されました。このように、訴訟を想定して有利な証拠を獲得する交渉ができるのは、訴訟案件を多数取り扱う経験豊富な弁護士でなければできないことです。